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メタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群)について

 過食・運動不足により、内臓脂肪が蓄積し、高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を複数併せ持つ状態をメタボリックシンドロームと呼びます。これらの病気はお互いが密接な関係をもって発生しており、多数合併するほど動脈硬化を進行させ、脳梗塞、心筋梗塞などを起こしやすくなります。たとえ、それぞれの病気の程度が軽症だったり、病気とは診断されない予備軍だったとしても、複数のリスクを持っていると、動脈硬化が急速に進むことがわかっています。
 生活習慣病の主な疾患に「肥満症」、「高血圧」、「糖尿病」、「高脂血症」などがありますが、これらの疾患は個々の原因で発症するというよりも、肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が犯人であると考えられています。

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※ 動脈硬化とは
 動脈硬化とは、血管の壁が硬く変化するとともに、血管壁が厚くなり血液の流れが悪くるなる病気です。動脈硬化で血流が途絶えると、そこから先へ酸素や栄養が届かず細胞が死んでしまいます。これが心臓でおこるのが心筋梗塞、脳でおこるのが脳梗塞です。動脈硬化はメタボリックシンドロームによって促進されます。
 ちなみに、日本人の死因の2位と3位を占める心疾患(16 %)・脳血管疾患(12.3 %)のほとんどは動脈硬化によるものと考えられます。
※ 1位は悪性新生物(30 %)。

女性の写真

メタボリックシンドロームの診断基準

  1. ウエスト周囲径:男性は85cm以上、女性は90cm以上 (内臓脂肪面積100cm2以上に相当)※ この場合のウエスト周囲径とは、腰の最も細い部分という意味ではなく、おへそのある位置から水平にメジャーをまわしてはかった長さです。また、ウエストサイズが基準値以下であっても、内臓脂肪が100cm2以上の人もいますので、正確な状態を知るには腹部CTスキャンで測定する必用があります。
  2. 血圧:最高(収縮期)血圧は130mmHg以上、最低(拡張期)血圧85mmHg以上 のいずれかまたは両方。
  3. 血清脂質異常:中性脂肪(TG)値が150mg/dL以上、HDLコレステロール値が40 mg/dL未満 のいずれかまたは両方。
  4. 空腹時血糖値:110 mg/dL以上。

★ 1の条件と、2〜4のうちの2項目以上を有する場合をメタボリックシンドロームと診断します。

腹囲と危険因子の関係
 心血管疾患の危険因子(血圧高値、脂質異常、血糖高値)の数は、腹囲が大きくなるほど増えている。

メタボリックシンドロームの危険性は?

 心臓病のリスクは、危険因子の保有数が「0」の人に比べて、保有数が「1」の人では約5倍、「2」の人では約10倍、「3〜4」の人では約30倍、心臓病のリスクが高くなります。
 それぞれの危険因子の異常の程度が軽くても、複数の危険因子が重複することによって、動脈硬化が起きやすくなります。

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内臓脂肪について

 脂肪は大きく分けて内臓脂肪と皮下脂肪があり、内臓脂肪は日々の生活のために必要なエネルギーの貯蔵庫として働き、皮下脂肪はいざというときに備えるエネルギーの貯蔵庫として働きます。内臓脂肪は比較的容易にたまるものの、容易に燃焼することができるので、日々の食事や運動で容易に減らすことが可能です。この面では内臓脂肪は、努力のしがいのある肥満ともいえます。

 皮下脂肪の脂肪細胞からは、動脈硬化を抑制しインスリン抵抗性を減少させる物質が分泌されていますが、内臓脂肪の脂肪細胞からはこれらの分泌が少なく、逆に高血圧や糖尿病、動脈硬化のリスクを高める複数の物質が分泌されます。また、高脂血症につながる遊離脂肪酸が増えることも知られています。よって、内臓に脂肪が蓄積すると、血糖を下げるホルモンであるインスリンの効き目が弱くなり(インスリン抵抗性)、糖や脂質の代謝の異常が起こります。これがメタボリック・シンドロームです。結果として、動脈硬化が急速に進行して、脳梗塞や心筋梗塞のような血管が詰まる病気になる危険が高くなるわけです。

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喫煙とメタボリックシンドロームの関連性

 動脈硬化性疾患には、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞などが含まれますが、その死亡数は全死亡原因の約30%を占めると言われています。その動脈硬化を引き起こす危険因子として「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」と並び「喫煙」があげられており、喫煙は血管の構造と機能・血小板・炎症性の白血球などに影響を与えるため、動脈硬化を促進させることになります。さらに、様々な研究から、喫煙により脂質代謝、凝固・線溶能、血管内皮細胞などに障害をきたすことも明らかになっています。現在、禁煙するなど生活習慣を改善することがメタボリックシンドロームの危険因子軽減のための有効手段と考えられています。